ROSE RECORDSが今年で10周年を迎えます。

レーベルを立ち上げようとしている曽我部恵一さんと出逢ったのは、ちょうど僕がaCaeというユニットで音楽を作り始めた頃だったので、aCaeの活動も10周年ということになります。(途中何年か休んでましたが..)
むむむ、時の流れは早いものです。

でも僕の場合、ROSE RECORDSとの出逢いは偶然ではなかったのです。
そこで..10年目を記念して、いまだ曽我部さんにもROSE RECORDSのスタッフのみなさんにも打ち明けていない秘話(?)をブログに記そうと思います。

時代は17歳の僕に遡ります。

勉強もろくにせず、寝ても覚めても音楽ばかり聴いているバンド少年だった僕は、別の高校に通うバンド少年Uちゃんの家によく転がり込んでいました。彼の家にはたくさんのCDがあって、学校帰りに音楽好きのキッズが集っては、みんなで音楽の話をしたり楽器を弾いたりする、そんな場所だったのです。

彼のCDコレクションは当時の高校生にしては素晴らしくノージャンルで、僕はそこでたくさんの未知なる音楽と出逢いました。
ある日、いつものようにUちゃん宅に上がり込み、ゴダイゴと岡村靖幸の間にニルヴァーナの海賊版が入っていたりするような異色のCD棚を物色していると、気になるアルバムを一枚見つけました。

すかさずCDデッキで再生すると、いつも湿っぽいUちゃんの部屋の中にカラカラと乾いた青春のような音が鳴り響き、17歳の未熟な僕ではそれまで自分で気づくことさえなかった、若さの虚ろさ、脆さ、温かさというようなものが、いっぺんにカーテンの隙間から入り込んできたような気がしました。

そう、もうすぐ高校も卒業して、気の合う音楽友達とも離ればなれになる。
それまであまり考えもしなかったそういう現実を、なんとなく寂しげな秋の空にぷかぷかと浮かべながら、ただ流れる音楽に耳を澄ましていました。

牛の群れが映ったモノトーンのCDジャケットは、そんな空と同じようにどことなく寂しげで、かすんだ文字で「Sunny Day Survice」と書かれていました。

つづく